精神疾患は甘えじゃないけどね、その気持ちもわかってしまうんだ
精神疾患は甘えなんだろうか？
もちろん甘えではありません。精神疾患は想像していた以上に複雑で、暗いトンネルの中を一人で歩き続けるような怖さがある病気です。だけど甘えだと言う人たちの気持ちも分かるんです。
今でこそ精神疾患が認知される時代になってきましたが「私は精神疾患なんです」と伝えるにはためらってしまうでしょう。『気の持ちようだよ』『メンタルが弱い』そう思われてしまうことはとてもつらい。
わたしもそう思っていた
精神疾患は甘えだという声はよく聞こえてくるはずです。その度に悲しくなり、怒りの気持ちが湧いてくることもあります。甘えだと言う人がもっと少なくなればいいのにと思います。
でも私はその気持ちも分かってしまいます。
実は私も精神疾患に偏見を持っていた一人だったからです。
できない人の気持ちなんてこれっぽっちも分からない。勉強も運動も努力してないからできないんだろう。できないなんて言い訳だ。努力すれば何でもできる。
私は努力したくてもできない人の気持ちを否定していました。
そして自分が精神疾患になりました。どうしても精神疾患にはなりたくなかった。やっぱりどこか認めたくなくて大手企業で働いたり、学校で英語講師をやってみたりしました。でも初めて『努力できなくなった自分』に出会いました。精神疾患だと認めるまでに約２年かかりました。
「これが甘えだったらどんなに幸せか」
わたしはわからなかった
精神疾患を一言で表すなら「もう消え去りたいと思う病気」です。今まで頑張れたことが急に頑張れなくなります。生き生きとした気持ちはどこかに消えてなくなります。とにかくもう消え去りたいと強く願うようになってしまいます。
私はこれを甘えだと思っていました。
自分がなるまで本当に分からなかった。
ここまで辛い病気と付き合っていくのならもういっそのこと…。
そういう病気でした。
「なってみないとわからない」という言葉がしっくりきます。
私は精神疾患の痛みを知りませんでした。自分がなってみて初めて、心の安定がいかに大切で当たり前じゃないことに気付けました。
だけど私は双極性障害２型（躁うつ病）のことしか分かりません。それから同じ双極性障害であっても自分の症状のことしか分かりません。ちなみに双極性障害はこんな病気です。
どうでしょう？
テンションが上がったり下がったりの振れ幅が大きいんだなという印象でしょうか？あなたがもし心を病んだことがなかったり、私と違う病気だったらよく分からないですよね。
やっぱりわたしもわからない
私にとって他の精神疾患は未知の世界。
同じ精神疾患であっても本当に分からない。
うつ状態は経験したけどうつ病のことは分からないし、適応障害という病名が付いたりもしたけどなんだかうつ状態に似てたからな～。
勉強してからやっと精神疾患にはたくさんの種類があることを知り、それぞれいろいろな症状が起こると知りました。それまでは「他の精神疾患も大変そうだな」「あの病気は再発率が低くてうらやましい」というような浅い考えで言葉を発していました。
精神疾患は謎
精神疾患の私でさえ他の精神疾患のことは知らないのです。半年ほど前に統合失調症の後輩から話を聞きましたが不思議な世界でした。「幻覚が見えるなんて本当にあるのか？」「彼はどんな世界を生きているんだ？」とはてなマークばかり浮かびました。
自分が経験していない辛さや痛みを理解するのは難しいんです。
心が健康な人はもっと分からなくて当然だと思います。もしかしたら精神疾患を甘えと言う人は精神疾患を知らない人かもしれない。
甘えって言われるとグサッとくるけれど「心を病んだことがない人なんだな」と思うと少〜しだけ心がラクになります。
お願い
精神疾患を甘えだと思う気持ちも分かります。
ただもし甘えだと思っていても、当の本人には伝わらないようご配慮いただけますと幸いです。
想像していたよりも難しい病気でした。
